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2019年3月28日 (木)

第15回空き瓶歌会 皆様からいただいた選評

○姉野もねさんからの一首選

 

姉野さんには毎回選評をいただき、本当にありがとうございます。

いつかぜひ歌会にも来ていただいてご一緒できたら嬉しいです!

姉野もね賞は、Cのキョースケさんの歌でした!

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どの歌も良くて迷ったのですが最も心に響いた歌は

C.交差点の弔いの花が枯れてゆく速度で君が忘れさられる

でした。交差点の弔いの花が新しい花に交換されることなく枯れてゆく光景はまったく知らないひとの死であっても心に小さな痛みが生じます。結句の切なさがたまらないなあと思いました。みんなが忘れてさってしまっても自分はずっと忘れない、という強い気持ちが逆ににじみ出ているようにも感じます。初句から結句まで一気に世界に引き込まれました。いろいろな想像が広がる歌でした。

 

 

○ユキノ進さんからの一首選

 

ユキノさんは空き瓶歌会の生みの親で昨年待望の歌集「冒険者たち」を上梓されました。

いつも遠くからあたたかく見守ってくださりありがとうございます!

ユキノ進賞は、Eの髙木秀俊さんの歌でした!

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新宿を去らずにセイヨウタンポポはアスファルトからぽぽぽと芽吹く

 

新宿に咲くセイヨウタンポポの種が風によって運ばれるが、あまり遠くまで行かずに同じ新宿で次の世代の花を咲かせている、という歌意で読みました。

セイヨウタンポポはその名の通り外来種ではるか外国からやってきているのに、一度根付いてしまうと住み慣れた土地から遠くへ行けないというのが、なんだか人のようでもあり、いじましい感じがします。またアスファルトに咲く花は生命力の強さを示している一方で、運命のどうしようもない苛烈さを象徴しています。「ぽぽぽ」というユーモラスな擬音が、ままならない世界にさびしく響きます。

タンポポの種に人生を重ねるのは凡庸な感性ですが、幾千の同じような種子にはそれぞれの個性などなく凡庸さも含めて人生なのでしょう。

 

 

○増子拓己さんからの一首選

 

増子さんは今回の歌会の参加者でもあるのですが、福島からいつもお越しいただきありがとうございます。

増子拓己賞は、Cのキョースケさんの歌でした!

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C. 交差点の弔いの花が枯れてゆく速度で君が忘れさられる

とある交差点で死亡事故があった様子を詠った一首だと思います。死亡事故が時間の経過とともに忘れ去られる切なさを、弔いの花が枯れていく様子と重ね合わせて詠んでおり、受け手も被害者への哀悼と加害者への憤りを感じてなりません。

4句目の「速度で君は」は、本来であれば「月日で君は」とか、「時間で君は」と表現するのでしょうが、「速度で君は」にすることで、時間の流れる速さが強調されていると思います。

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